戦闘生理学
<Combat Physiology>

戦闘という最も過酷な状況を科学する分野

戦闘生理学とは、戦いという、最も過酷なプレッシャーを受ける状況の中で、最高の精神状態に導き、身体を反応させる科学です。
勝つためには恐怖と不安の中、最高の戦闘モードにならなくてはなりません。
根性とは、恐怖と不安を越えるよう自己奮起させ、アドレナリンを最大限に使う意識上のものです。
動物が猛獣に襲われる時、最大の情動の中、集中が生まれ、どう逃げればよいかの判断が冷静に生まれます。実際にライオンは獲物を逃がしてしまうことの方が多いのです。
意識上での最大限の興奮のはずですが、本能で生きる動物は必死になっていても、逃げきるという冷静な判断が集中された、無意識下のトランス状態なのです。
一方、襲う方の猛獣は、意識の集中で動いている根性の姿となります。
もし襲われる側の情動が、攻撃に使えたら・・・・、戦闘生理学とは、それを導き出したものです。
それは襲う方と襲われる方を、裏返しにするような簡単なものではありません。
戦闘モードとは、興奮の中にも冷静な判断があり、最良に体が動く状態のものです。
そのためには社会免疫に完璧なる精神(精神基底)と、情動をコントロールする技術が必要であり、興奮の中の冷静を感知しながらも、未来勝利の暗示を現わす無意識的集中状態(変性意識)に入ります。
戦闘の前・中、情動をコントロールすることは、日常生活の精神安定にもつながり、不動心の構築になるものです。また平時に情動を安定させる練習「士禅」等は、戦闘時に体が動く状態にトランスしていく、戦闘生理学の基本ともなります。
掣圏真陰流が導く戦闘トランスは、戦闘時に無意識によって生まれる集中力です。
意識で戦うのではなく、生理的な無意識の育成と、情動そのものを科学し変えてしまいます。
心とは何か、感情とは何か、情動とは何か、身体との連動が、無意識下で起こったとき、
戦いの世界で実力を出し切れない人はいません。
大舞台に弱い人、あがり症の人、
戦闘に弱い人から、ストレス障害、うつ病にいたるまで、その情動回路は同じなのです。
また、一般社会における、弱さ強さもこの情動回路が大きく関与しています。
戦闘生理学とは病状を治すことではなく、生理学的に情動回路を強し、弱さにヒビかないように基本点を置いた分野ともいえます。
武道においては真の不動心の育成であり、掣圏真陰流は現代における最新の科学武道なのです。
過去の流派や武道も、当時の最新科学を駆使した精神道であるといえます。
最新の科学を分析し、精神基底から造り上げる事が、その時代の最強といえるのです。
戦闘生理学と掣圏真陰流は一対のものです。